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夏至Ⅱ 聖ヨハネの草

 
 『あの方(イエス)は栄、私は衰えねばならない。。。』
            ヨハネの福音 3:30より

 古来から、【夏至】は特別な一日だった。

 古来からの【夏至】の習慣を、見事に取り入れたのがキリスト教。
 キリスト教歴では、この日は【聖ヨハネの誕生の大祝日】ということになっている。
 聖ヨハネとは、イエス・キリストの従兄、
 イエスに洗礼を授けたといわれるあの洗者聖ヨハネのことである。

 キリスト教で誕生日が祝われるのは、イエス・キリストとその母マリア、
 そしてこの洗者聖ヨハネの、たった3人だけである。
 
 ヨハネはイエスに先駆けること半年早く生まれ、イエスの思想に大きな影響を与え、
 まさにイエスへの道を切り開き、≪旧約時代≫は終わったことを告げてあるいた、
 特別な人物なのである。
 ヨハネが馴らした民衆を率いて、イエスはイエルサレムに乗り込む。
 その頃ヨハネは、自分の責務を果たし終え、ヘロデの娘サロメの所望で、
 首をはねられているのだ。

 ヨハネは、イエスのために死を選んだ初めての殉教者でもある。
 彼が殉教した8月29日はキリスト教の大きな催事でミサが捧げられる。
 ちなみに、<ヨハネ>という名は、ヘブライ語で<神はいつくしみ深い>という意味。

 この大事なヨハネが本当に夏至の日に生まれたかどうかはわからない。
 ・・・が、この日を境に、【冬至】に向かって太陽が衰えていく様を、
 ヨハネがイエスへの橋渡しをしたことに重ねたのである。
 【夏至】以後の太陽の衰えは≪旧約時代≫の終焉を表し、
 【冬至】が≪新約時代≫の幕開けとなる・・・・
 この思想を定着させたのは、かの聖アウグスティヌス。
 彼は古代の異教の太陽信仰の催事を、うまくキリスト教に上書きしていったのである。


 この聖ヨハネのシンボルの花。。。『ヒペリカム』
 日本名『弟切草:おとぎりそう』

 ちょうど6月の今時分、黄色の花をいっぱいつける。
 古来から薬草として地中海地域のどこにでも野生していた。
 今は園芸種で、道路沿いの植え込みにも使われている丈夫な植物である。
 キリスト教では、これは、はねられたヨハネの首の血が滴って生えた...という。
 日本名も、この草から作る秘薬の作り方を漏らした弟を切り捨てたところから
 この名がついたという。
 いづれも、すがすがしい花の姿からは想像できない血生臭い話であるが、
 きっと、それくらいの効能があるのだろう。

 この『ヒペリカム』だけでなく、【夏至】の日の朝露に濡れたハーブを
 『聖ヨハネの草』という。

 これも古代ケルトの習慣をそのままに受け継いだもの。
 ミント、タイム、ゼニアオイ、ヴァーベナ、ニワトコ、ヨモギ、
 カモミール、ディル・・・・・・
 この時期、生き生きと葉を伸ばし、かわいい花を咲かせるハーブたちは、
 聖ヨハネのようにいから強いパワーをくれるのだろう。
 特に、太陽の最後の一滴のような光を浴びたこの日のハーブたちには、
 古来から、魔法が宿る...と信じられてきた。

 今も西欧では、【夏至】の日の朝早くハーブを摘んで、
 花輪にして戸口に飾り、
 乾燥させて箪笥の引き出しにしまい、
 その日の食卓にさわやかな香りを添える。

 気がつけば、『聖ヨハネの草』は我が家の小さなハーブ畑に毎年出てくる草ばかり。
 6月はこのハーブの花が一斉に咲き出すのだ。
 今朝もディルの小さな小さな花が開いた。

 今朝は鎌倉トマトのサラダに、『聖ヨハネの草』を加えてパワーアップ!
 元気をいっぱいいただきました♪

 そうそう、ヨーロッパでは『聖ヨハネの日』は24日に祝うことが多い。
 だから今からでも間に合いますよ!
 『ヨハネの草』の効能。。。
            お試しあれ!!

 

 


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