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2012年7月 9日

紫陽花革命


 『あぢさゐの八重咲くごとくやつ代にをいませ我が背子見つつ偲はむ』
                     橘諸兄 <万葉集 巻二十

 毎週金曜日の18時から20時、首相官邸前には、
 10万人以上の普通の人々が、
 大飯再稼動反対を唱えるために集まっています。
 この一連の出来事に、Twitterでは
 【#紫陽花革命】という名が付きました。

 多分、名付けた方は、あのジャスミン革命にならい
 この季節を代表する花と思ったのでしょうけれど、
 国民にとって善い政治を叫んで始まった活動に
 【紫陽花】の花を冠したことは、
 すごいことなのです!

 【紫陽花】は日本原産。
 日本からユーラシア大陸へと広がっていった花。
 西洋で【紫陽花】と言えば、なんとなく東洋的香りを感じるもので、
 一時期、パリでドライにした紫陽花が流行ったこともあります。
 しかし日本では古来から、あまりめでられることもなかったようで、
 万葉集ではわずか二首にしか登場しません。
 現在の紫陽花の花言葉のように、
 花の色が変化することから、【七変化】ともいわれ、
 <心変わり>の象徴となり善いイメージがなかったのでしょう。
 現に万葉集の一首は、単身赴任中に妻に浮気をされた恨みの歌です。

 そしてもう一首が上記の歌。
 橘諸兄は、敏達天皇の子孫で聖武天皇を補佐して活躍した名政治家。
 生前に正一位を授ったほどの功績のある、名政治家です。
 学者はこれを、
 「紫陽花の花が八重に咲くように、あなた(家族)も八千代に栄えんことを!」
 と読み解きます。
 
 橘の姓は、もっとも大事な天皇のシンボルの一つ。
 この歌でいう、『我が背子』はまさにこの日本のことを指します。
 この国が八千代に栄えるという歌のたとえに、
 なぜ、<心変わり>の花を引用したのでしょうか?
 橘諸兄は只者ではありません。
 そんじょそこらの権力欲の塊のような政治家ではなく、
 日本という国がどうしたら国際化しつつ、自国のアイデンティティを
 失わずに生き残っていけるか・・・
 あの激動の時代に、必死で考えていた人です。
 万葉集の選者でもあった、歌の達人橘諸兄が、
 うかつに【紫陽花】を選んだとは思えません。

 『古事記:ふることふみ』にこういう一文があります。
 『このくにをつくりかためなせ』

 これは別天神(大宇宙の神々)が命がけの言葉を持って、
 イザナギ・イザナミの神に命令する言葉。
 これによってふた柱の神はこの日本を生むことになります。
 この言葉は、漢の字を借りて『修理固成』と書き落とされました。
 日本は常に『修理固成』して、人の道、国の道を選び歴史を創ってきました。
 ユダヤの諺に『東へ行けばいくほど人の心は広くなる』とあるように
 日本はすべてを受け入れます。
 が、何事も日本流に、いいとこどりして変えていってしまいます。
 悪く言えば、単なる猿真似。
 しかし日本古来の『修理固成』に照らせば、
 『理に照らして善となるように修正し固めてなしてゆく』とも言えます。

 橘諸兄の頭には、このことがったのでしょう。
 『修理固成』するには、<七変化>することも必要。
 だから、あえて、この国の未来永劫・国家の繁栄を願う歌に
 【紫陽花】を引用したとしか思えません。
 
 歴史は時に、不思議なことをするものです。
 今まさに日本という国の命運がかかったこの<時代>に
 湧き上がった運動に
 【紫陽花】の名前が付いたとは!
 
 地球はここ3000年ほど、古代ギリシャ・ローマ・キリスト教という
 三種の神器で人類は幸せになれると突き進んできました。
 人類は【永遠】であることを望みました。

 でも、人類とてこの地球の自然の本の一部ということに気づき、
 この宇宙の【理】に添う生き方こそ人類の幸せと、
 超古代から気付いていたこの日本は、
 すでにいつでも『修理固成』する用意があったのかもしれません。
 西洋をとことん知り、教えている私には、
 西洋と日本のシナプスのつながり方の違いが非常によくわかります。

 日本だけでなく、今この地球は、
 大きな大きな人類の転換期を迎えています。
 もし、人類が【修理固成】して、少しでも多くの幸せな人類を生み出すなら、
 その発信元は、この日本しかありないでしょう。
 
 そして、そのシンボルも、
 【紫陽花】以外には考えられないのです。

 変わることは一気呵成にはいきません。
 暴力では変われません。
 むしろ一気に変わることは、クーデターや独裁やらの危険をはらみ、
 さらなる動乱を招きます。
 本当に変わるためには、遅々たる歩みでも止めないことが大事。

 『修理固成』して、【紫陽花】のように、七変化して、
 何十年か先には、よい国になってゆくことを、
 橘諸兄の歌のように、願わずにはいられません。
 
 
 

 
 


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